ホワイトニングの原理と特徴

ホワイトニングのメカニズム

ホワイトニングの原理

ホームホワイトニングの種類

厳密にはホワイトニングとは歯を白くする治療の総称で、歯の漂白はホワイトニングの中のひとつになります。他にもデンタルマニキュアや補綴物によるホワイトニングもありますが、マニキュアは一時的な治療ではがれやすく、補綴物による治療はむし歯や歯の神経が死んでいない限り健康な歯を削る必要があります。このような理由から、ホワイトニングと言えば歯の漂白が主流になります。

ホワイトニングの特徴・長所・短所

歯のホワイトニングは大きく分けて、自宅で行う「ホームホワイトニング」と歯科クリニックで行う「オフィスホワイトニング」の2種類に分類されます。ホームホワイトニングは低濃度・長時間で漂白するものであり、オフィスホワイトニングは高濃度・短時間で漂白するものといえます。

オフィスホワイトニング種類ホームホワイトニング
歯科医院で歯の表面にホワイトニング(漂白)効果の高い、高濃度の薬剤を塗り、光を照射するなどして、薬剤を活性化させ、短時間で歯を白くする方法概要個人の歯形に合わせた専用の ホワイトニングトレー(マウスピース)を作り、自宅でホワイトニング剤を入れたトレーを歯に装着することで、歯を白くする方法
高濃度の薬剤を使い短時間で行うため、一気にある程度の白さになる。その反面、知覚過敏痛 感じたり、ホームホワイトニングと比べて、色の再着色がおこりやすいといった特徴がある特徴低濃度の薬剤を使い、時間をかけてゆっくり漂白。時間をかけて作用させるので、薬剤が深くまで浸透するので白さも長持ちする
1. 即効性があり一度の来院である程度の白さが得られる
2. 全て歯科医師、衛生士が行う
長所1. 自分の都合に合わせて行える
2. 白くすることができる限界点が高い
4. 白さが長持ちする
1. 光の届かない奥歯は白くならない
2. 色の着色がホームホワイトニングに比べてやや早い
3. 施術当日に痛みを感じることがある
短所1. 効果が現れるまで時間がかかる
2. 継続して行う根気が必要
3.トレー装着に違和感を感じる人がいる

「過酸化水素」と「光」のはたらき

歯のホワイトニングで使用するホワイトニング剤には「過酸化尿素」が含まれています。過酸化尿素は、過酸化水素と尿素を 1:1 の割合で結合させた、安定した過酸化水素です。米国食品医薬品局(FDA)はジェル濃度 10%~45% のもが、安全なホームホワイトニングとして承認しています。

この過酸化水素とは「オキシドール」や「オキシフル」と呼ばれる、医療現場やご家庭で一般的に消毒薬として 広く使われている薬品で、この過酸化水素が歯の漂白剤として作用します。

例えば 10% の過酸化尿素は唾液と接触すると、体温が加わることよって7%の尿素と3%の過酸化水素に分解されます。この過酸化水素が分解して生じるラジカルが歯についた着色物質を酸化・分解して無色化、漂白作用が起こります。

最終的に過酸化水素は、酸素と水に分解されます。よって漂白効果は、過酸化水素の濃度と作用時間によって変わります。

歯を白くするもうひとつの条件は「光」です。過酸化水素はこの光により効果的に働きます。つまり、光(LEDライト)をあてることによって、短時間でホワイトニングを行えます。同じ薬剤を同じ時間だけ使用したとしても、光をあてるのとあてないのではその効果は3倍違ってくると言われています。

歯の表面、エナメル質の色はもともと白色ではなく半透明です。下層にある象牙質の色が黄色みがかっているために、エナメル質に反映して歯が白く見えたり、黄ばんで見えたりするのです。エナメル質の色素を無色透明にするのではなく、下層の象牙質を白く変色させ、エナメル質に反映させて白い歯となるのです。

ホワイトニングの主成分、過酸化水素、過酸化尿素は一定温度になると、活性酸素と水に分解されます。 この分解時に発する酸素が、歯(像牙質)の着色部分を無色透明に分解(ブリーチング)するのです。そして歯面のエナメル質は無数のエナメルの小柱が束になってできています。過酸化尿素から発生した酸素は、エナメル質表層のエナメル小柱に浸透し、エナメルの表面に光が乱反射して、曇りガラスのようなマスキング効果を得ることができ、歯が白く見える仕組みになっています。

このように過酸化水素、過酸化尿素の酸化作用を利用して口腔内で分解された酸素がエナメル質に浸透し、歯の像牙質の色素(有機質)だけを分解して無色化させるため象牙質の構造を変える事なく色調を明るくする事ができるということです。

歯の硬組織と呼ばれる組織中の有機物(色素)=色の原因物質を、薬剤作用で分解させ、白くしていきます。これらの薬剤はアメリカではもとより、日本でもオキシドールに配合されるなど長年消毒、殺菌剤として使用されて いるもので安全性は 米国食品医薬品局(FDA) や日本国内の学会でも証明されております。